・ブラックWEB制作会社の見分け方はあるの?
・求人票で注意して見るべきポイントは?
そんな疑問にお答えします。
私は、これまでWEB制作会社を2社経験しており、そのうちの1社では採用担当をしていました。
その経験と、同じ業界にいる友人、知人の体験、実情を踏まえて「求人票からみるブラックWEB制作会社の見分け方」について解説していこうと思います。
WEB制作会社はブラックが多い?
WEB制作会社は事実ブラックな会社が多いです。
クリエイティブ系な仕事なので、どうしても納期前には連日終電や最悪徹夜なんてことは良くあることです。
また、WEB制作会社は、せいぜい20~30人以下の社員しかいない零細企業が多く、そういう会社はオーナー社長がほとんどだと思います。
これ自体、しょうがない部分もありますし別に悪い所でないのですが、これらが悪い方向に行くと途端にブラック会社になってしまいます。
連日終電、休日出勤当たり前みたいな状況が日常化して、しかも残業代も支払われず、そのことを経営者に問い詰めると「仕方がない」「どこの会社もこんなもの。当たり前。」みたいな対応しかなく、そんな状況なので当然どんどん人がやめていく。
そして、逃げ遅れた人間はさらに厳しい状況に追い込まれる。募集をかけて新しい人間を雇っても、2年ぐらい働いたら見切りをつけて辞めていってしまう。
こうなってしまったら真っ黒なブラックWEB制作会社の出来上がりです。
ブラック制作会社は転職サイトなどに載っている「求人票」からも、なんとなくその地雷臭が感じられます。
この記事で「これは危険だな!」と思う求人票のポイントを幾つか解説していきます。
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求人票の見るべきポイント
給与
まずは誰もが気になる「給与」についてです。
よく求人票で見かける「給与:○○円~○○円」と幅を持たせて書いてあるところは注意しましょう。
入社後の給与は求人票に書かれている最低額に近い金額になると思います。よほどの事がない限り最高額にはなりません。
未経験からの転職や、それほど経験年数がない人は、ほぼ間違いなく最低額あたりの給与からのスタートになると思います。
また、年収例みたいな感じで、例えば(30歳 : 年収600万円)みたいな書き方をしている所もありますが、これも誰でもその金額の給与がもらえるという訳ではありません。
あくまでも、「30歳の人で年収600万円給与をもらっている人がいる、又はいた」というだけの話だと思っていいでしょう。もしかしたらその給与は最大瞬間風速で一時的に給与が上がっただけかもしれないですし、なんだったら役員クラスの人間かもしれません。
あまり鵜呑みにしない方がいいでしょう。
給与に関しては普通に「月収:268,000円~ (賞与年二回、昇給年一回/経験を考慮します)」みたいな感じで明確に書いてある方が、入社した後で「話が違う」なんてことがあまり起きないでしょう。
もちろん、給与に関しては入社前に会社としっかり話し合って、具体な金額を決めたほうがいいでしょう。入社前の面談で給与に関して具体的な金額を提示するの避けるような曖昧な態度をとる会社は危険です。
残業代
クリエイティブ系の職種なので、残業はどの会社でも必ずあると考えて間違いないです。特に納期前や繁忙期などは、連日終電なんて日々もあり得ます。
なので、クリエイティブ系の職種にとって、「残業」がどのように扱われるかが、とても大切なポイントになってきます。
残業代の支払いについては以下の4パターンがあると思います。
・残業した分だけ残業代が支払われる
・固定残業代
・労働裁量制
・そもそも残業についての記載が求人票にない
残業した分だけ残業代が支払われる
残業したら残業した分だけの残業代が支払われるパターンです。これがベストです。
当然、休日出勤したらその分の手当も支払われるでしょう。
残業代がしっかり支払われるということは、長時間労働になりにくく、結果的に仕事も無茶なスケジュール進行を避けるようになります。
固定残業代
これは、あらかじめ決められた時間分の残業代が初めから給与に含まれているというものです。
「月給30万(固定残業代:40時間/月までの残業代は給与に含む)」のように記載されています。
つまり月給30万で固定残業代として40時間/月までの残業代がそこに含まれてるとしたら、たとえ残業時間がゼロでも40時間でも、給与は同じ30万円となります。
「固定残業代として40時間/月までの残業代は給与に含む」とあったなら、その会社は月に40時間は残業があると見ていいでしょう。
会社としては同じ給与を払うならギリギリまで残業させた方が得です。
注意してほしいのは、「月給30万で残業代がフルで出る会社」と「月給35万で、そこに固定残業代として40時間の残業代が含まれる会社」で給与を時給で比べた場合、月給35万(固定残業代40時間分含む)の方が時給換算だと低くなる場合があります。
週40時間×4週分=月160時間働いた場合、「月給30万で残業代がフルで出る会社」だと残業なしだと一月160時間はたらいて時給1,875円となります。
一方、「月給35万で、そこに固定残業代として40時間の残業代が含まれる会社」だと残業を月40時間やった場合、一月200時間はたらいて時給1,750円となります。
もともと月給が低いのに、さらにそこに固定残業代として数時間分の残業代が含まれていた場合、時給に換算すると最低賃金以下の時給になってしまう会社もあるので特に注意しましょう。
固定残業代制の場合は、時給で考えた時に幾らになるかも考慮した方がいいでしょう。
労働裁量制
ザックリ言うと「労働時間が長くても短くても、実際に働いた時間に関係なく、契約した労働時間分を働いたことにする」という制度です。
「労働裁量制」を採用する場合、会社と労働者との間で「みなし労働時間」と呼ばれる労働時間を前もって決めておきます。例えば「みなし労働時間」を8時間とした場合、たとえ一日の労働時間が4時間でも10時間だとしても、8時間の労働として処理されます。
この制度を悪用して「残業するのは個人の裁量だから残業代は払わない」などと言う会社もあります。
しかし、これは間違えで22:00以降の深夜手当、休日出勤に対しての休日手当は「労働裁量制」でも支払わなければなりません。
また「みなし労働時間」が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える場合は、労働者との間に36協定とよばれる協定を結び、割増賃金を支払う必要があります。
この「労働裁量制」とは出勤時間や退勤時間も労働者の裁量に任せるものです。つまり何時に会社にきても何時に帰っても問題ありません。
「労働裁量制」を採用しておきながら、がっちり就業時間が決められている会社は、「労働裁量制」を会社にとって都合よく解釈している可能性が高いと言えるので要注意です。
そもそも残業についての記載がない
これはもうかなり危険です。
求人票に「残業代」について記載がないのは、「書き忘れ」ではなく「書けない」からです。
かなりの確率で残業代がでないと考えていいと思います。全力で避けましょう。
社会保険・福利厚生
「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」この4つは基本です。
上の4つの保険を挙げて、求人票の社会保険・福利厚生の欄に「各種保険完備!」などと自慢げに書いてある会社は、逆に言えば法律で決められている必要最低限の社会保険・福利厚生しかないと考えていいでしょう。
また、本採用前の試用期間であろうとも、企業は、各種社会保険(雇用、健康、労災、厚生年金)に加入させる義務があり、残業や休日出勤にも超過分の賃金の支払い義務があります。
試用期間だからと言って、各種社会保険の加入を拒否する会社は危険な会社と言えるでしょう。
アルバイトの募集要項もチェック
正社員の募集要項だけではなく、もし募集しているのなら「アルバイト」の募集要項も確認しておくことをオススメします。
現在(2022.8)東京都の最低賃金は『1,041円』となっています。(ちなみに、2022年10月から1,072円に引き上げられる予定です)つまり、これは高校生でも最低1時間あたり1,041円は最低でも支払われるということです。
都内の会社で『1,041円』以下の時給で募集をかけている所はさすがにないと思います。ざっと調べたところ、都内Web制作会社でのアルバイト(未経験)だと安いところで大体1,100円~1,300円スタートという感じです。
あまりにも安い時給でアルバイトを募集している制作会社は要注意だと思います。本当にアルバイトに払う金がないほど経営が厳しい状況にあるか、単純に経営者が人件費に対してシビアなタイプの制作会社なのかのどちらかです。
また、時給に対して過度に応募条件を要求している会社も要注意です。例えば、時給1,100円に対してWeb制作経験者やPhotoshop/illustratorでの実務経験を求めるなど、時給に対して「割に合わない」ほどの過度の能力を求めてくる会社も要注意です。これは「能力がある人をなるべく安く使いたい」と会社は思っているということです。一見当たり前のようですが、そこで働く人間にとっては自分の能力が「安く買いたたかれている」ということになります。どうせ働くなら「能力に応じた賃金を払ってくれる会社」で働いた方が幸せです。
このような会社に「正社員」として入社しても、あまりイイ事はなさそうに思ってしまいます。給料が安かったり、給与がぜんぜん上がらなかったり、そもそも経営があまり上手くいってなかったりと、入社後の厳しい状況が想像できます。
Web制作会社に就職、転職する際は、「正社員」の募集要項だけではなく、もし募集しているのならば「アルバイト」の募集要項も併せて確認していみるといいででしょう。募集要項を確認する際は同業他社と比較検討してみましょう。その会社の人件費に対するスタンスが何となく見えてきます。
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求める人材像でその会社の本音が見えてくる
WEB制作会社であれば、一般的に求人票の備考欄には、「必要な技術」や「業務経験や経験年数」などが記載されていると思います。
WEBデザイナーやエンジニアは技術職なので、求人票に技術や経験についての記載がある事は当然だと思います。
しかし、その技術や経験についての記載が一切なく、いわゆる精神論的な、例えば
・向上心を持って日々の仕事に…
・感謝の気持ちを持って仕事に取組み…
・あきらめない心で常にチャレンジ精神を…
みたいな記述があると、個人的に「アレこの会社?」となってしまいます。
技術や経験がある人材を雇いたいのではなく、会社にとって都合がイイ人間を雇いたいのかな?と思ってしまいます。
また、人を雇いたいとなった時に現場の人間からは「○○ができる人がほしい」「経験のあるデザイナーがほしい」みたいに具体的な人物像が出てくると思います。上のような精神論めいた事はまず現場からは出てこないでしょう。
備考欄に精神論的なことしか書いていない場合、その会社では現場の声は採用活動に反映されておらず、ワンマンな会社な可能性が高いと言えます。
社内の雰囲気は大切
その会社の社風と言うか社内の空気感との相性はとても大切です。
基本的にデザイナーもエンジニアもほぼ一日中社内ですごしますし、小規模の会社であれば社員全員一日中同じ部屋で仕事をすることになります。社内の目から離れられるのはぜいぜい昼飯ぐらいです。
なので、会社の空気感との相性はとても大切になります。会社の空気に合わないとかなりキツイです。
求人票からは社内の空気感はなかなか伝わってきませんが、例えば求人票に載っている写真からなんとなく推測することはできます。
例えば、どの写真も20代ぐらいの若い社員しか写っていないとしたら、出入りの激しい会社の可能性があります。30代、40代の中堅どころの社員がほとんどいない、つまり入社しても数年でほとんどの人が辞めていってしまっている可能性があります。
またWEB制作会社にもかかわらず、写真に写っている人間の多くがスーツを着ている場合、個人的には「この会社は営業主体の会社かな?」と思ってしまいます。
WEB制作会社は大概私服で、スーツを着ることはほとんどありません。なので、WEB制作会社にもかかわらずスーツの人間ばかりだと違和感を感じてしまいます。
そういう会社はWEB制作会社というよりも、SEOやマーケティングまたは広告代理店業務がメインの可能性があります。
口コミは超大切
例えば「転職会議」などの求人サイトには、その会社の元社員による口コミ情報が掲載されています。「口コミ」は求人票から伝わりずらい会社の空気や実情を知るうえでとても大切です。
企業は求人票や面接でも、その会社にとって都合の悪い情報は極力隠します。なので、リアルな情報である「口コミ」は、会社を知るうえでとても重要です。
実際の残業時間や昇給、社内の雰囲気など、求人票からでは分からないリアルな情報を得ることができます。
転職先を探す際には、求人票だけでなく「口コミ」も必ず活用しましょう。
まとめ
求人票からでもブラック制作会社のニオイは何となく感じ取れます。
ブラックな会社でいくら頑張っても報われません。ただただ疲れていくだけです。
どうせ頑張るならいい環境で頑張った方が、何倍も自分にとって得です。
WEB業界に転職を考えているなら、ブラック制作会社は全力で避けて下さい。(もし今現在ブラック制作会社にいる人は一日でも早く逃げ出してください。)
ブラックな制作会社に人が集まらず淘汰されていくことで、WEB制作業界全体が健全化することを願っています。
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